脊髄外科のページ
Minoru Hoshimaru, M.D.
頸椎の話

 頸椎の異常により脊髄や神経が圧迫されるようになると様々な障害が発生します.たとえば,誰でも経験があることと思いますが,肘の内側の部分を何かの角にぶつけると小指のほうに向かってビリビリとした痺れをともなった電気が走るような痛みを訴えます.さらに,しばらく手が動かせなくなります.このように神経が圧迫されると強い痛みや痺れが発生し,筋肉を動かせなくなります.頸椎から椎間孔を通って上肢に行く神経が出ますから,頸椎の異常により神経が圧迫されて,腕や手の痛みや痺れ,そして腕や手の麻痺が発生することは容易に理解できることです.そして頸椎の異常では下肢にも痛みや痺れ,そして麻痺が発生します.これは,脊髄も圧迫されると神経の圧迫と同じような症状が発生するからです.また,一般的にはあまり知られていないことですが,頸椎での脊髄の圧迫によっても腰痛が発生します.
 
 頸椎の異常によりかなりの方に後頸部の痛みを発生します.我々のデータでは頸椎の手術を受けられた9割の方に術前に何らかの後頸部の痛みが存在していました.その特徴的な痛みは「首がつまるような」痛みであります.そして,それらの方は大なり小なり頭がボーとして働きが悪いということを自覚しておられます.それでは,頸椎の異常により脳の働きに影響が及ぶのでしょうか?我々の調査によればその答えはイエスです.夕方になると,寝転んでいたい,気力がでない,仕事に集中できないといった症状をお持ちの方は,頸椎の異常から症状が発生している可能性があると思われ受診をお勧めします.